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2010.11.29

沖縄基地問題

 アメリカは、沖縄の基地問題=米軍再編における海兵隊のグアム移転問題は、ひとえにテクニカルな問題としてとらえられている。

 日本では、基地問題はもっぱら沖縄への負担、沖縄の民意、沖縄の経済振興の問題として扱われている。

 つまり、どちらにおいても中長期的な安全保障、東アジアにおけるそれぞれの国の権益をどう守っていくか、2つの国が手を携えてアジア太平洋地域の安定にどう寄与していくか、そのために在日米軍と基地はどうあるべきか、という本質的な視点と議論が欠落してしまっている。何よりそれが問題ではないだろうか。

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2010.11.12

「知る権利」はそんなに偉いのか

 ビデオビデオって騒いでいるけど、テロ捜査の公安情報が警察から流出したことのほうがよっぽど問題なんじゃない? なんでそっちはもっと報道しないの? 朝、テレビを見ながらうちの奥さんが言っていた。確かにそう思う。

 ビデオを投稿した海上保安庁職員の行動を、中国人船長を放免した政府の理不尽な判断を糾弾する義憤によるものとして、理解を示す人々がいる。

 それはまだ納得できる部分があるが、どうにもおかしいと思うのは、海保職員の行動を、国民の「知る権利」に応えたものとして容認する声だ。

 知る権利とは「すべての情報を知る権利」なのか。

 今回のビデオ流出を、政府が隠蔽しようとした情報を暴いて「知る権利」に応えたものとして、ニューヨーク・タイムズが極秘報告書(ペンタゴン・ペーパーズ)をすっぱ抜いてベトナム戦争に関する米政府のウソを暴いた事件や、ワシントン・ポストのスクープがニクソン米大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件にたとえる向きもある。

 しかし、それはまったくおかしい。

 NYタイムズやワシントン・ポストの場合は、入手した情報が正確かどうか、公表することが国や特定の市民を傷つけはしないか、公益に資するかどうかなどをメディアがよくチェックと検討をし、問題ないと判断したうえで記事になった。

 1人の公務員が、たまたまアクセスできた公的な情報を自分だけの判断で外部にもらすのとは根本的に違う。

 これを、メディアが取材して得た情報と同じものとみなすのであれば、「知る権利」を理由にすれば、どんな情報も、個人の判断だけで、行政府や議会の意思とは関係なしに勝手に公開していいことになる。

 では、その情報が日本の政府や企業や市民にとって著しく不利なものだった場合はどう考えるのか。たとえば、今回流出したビデオの内容が中国漁船の正当性を示すもので、中国のハッカーが流出させたものだったらどうなのか。「政府が隠していたものを暴いた」という点ではまったく一緒だから、それでも「知る権利に応えた」と評価するのか。

 今回のビデオ流出を「知る権利」とからめて容認する人々は、漏洩した情報が「中国漁船の犯罪性を示す」という内容だったことからさかのぼって是非を判断している。

 知る権利は、「都合のいい情報だけを知る権利」ではない。情報を誰がどう公開するかは、「知る権利」だけを基準に軽々しく考えるべきではない。

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2010.11.10

Googleが全社員の給料10%アップ

 グーグルが全社員に1000ドルのボーナス支給と、10%の給料アップを行うらしい。

Googleが全社員にサプライズ・ボーナス(Business Insider英文記事)

http://www.businessinsider.com/google-bonus-and-raise-2010-11

 なぜ今、ボーナスと昇給なのか。CEOのエリック・シュミットが全社員に送った社内秘メールによれば、社員(パートタイムも含む)はボーナスやストックオプションよりサラリーのアップを重視していることが調査でわかったからだという。

 社員は約20000人なので、ボーナス支給で2000万ドル、10%の昇給で年10億ドル、人件費が増える計算になる。業績が好調かつ安定しているのは確かだろうが、それをこういう形で社員に還元するのはGoogleらしくない気もする。

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2010.11.02

北方領土訪問 みくびられる日本

 ロシアのメドベージェフ大統領が国後島を訪問して騒ぎになっている。6月頃に訪問計画が明らかになって以来、見送ってほしいと日本は繰り返し要請していた。

 中国との間に尖閣諸島の問題があり、日本にとってデリケートな状況にあることはロシアも知っている。それを承知で断行したということは、やめてくれと日本が懇願する中で島に行き、何てことをと日本が抗議してくる様を国内や世界に見せつけることが大統領の狙いなのかもしれない。

 北方四島をめぐる緊張は数カ月前から少しずつ高まっていた。ロシアが7月に択捉島で軍事演習を行ったからだ。日本の新聞・テレビではなぜか大きく報道されなかったが、1500人以上が参加した本格的なものだった。

ロシアの軍事演習「ボストーク2010」 ノーボスチ通信の解説記事(英語)
http://en.rian.ru/analysis/20100705/159695795.html

 ノーボスチの解説を読むかぎり軍事戦略的に重要な位置づけであったことはわかるが、射撃練習をわざわざ択捉で行わなくてはいけない理由は読み取れない。リベラルでソフトなイメージが強いメドベージェフとしては、2012年の大統領選をにらんで(出馬するかどうかはともかく)極東の安全保障について強腰で臨めると示したい。そんな政治的な思惑があったのではないか。

 今朝のスタジオで青山学院大学の袴田茂樹教授が指摘していたように、それが可能なのはロシアが今の日本の政権をなめ切っているからだ。普天間基地の移設問題で迷走し、尖閣沖の中国漁船衝突問題で右往左往したように、外国の目に、民主党政権は外交と安全保障面で主体的に行動するための意思と当事者能力を失っているように映る。

 強い対抗措置に出たり国際世論にアピールすることもなく、ただ抗議をするだけ。そんな態度を見れば、韓国が竹島に対する支配のレベルを引き上げたり、オーストラリアが捕鯨問題でより強硬な姿勢を見せたりするようになりかねない。

 APECの会場で首相がメドベージェフ大統領にどんな態度で接するのか、注目したい。

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2010.10.25

チリ鉱山作業員は「安全」を求めない

 チリ・コピアポ郊外の鉱山で起きた落盤事故の生還者が、事故に関する状況についてマスコミの取材などに語り始めた。彼らの証言が鉱山会社の刑事責任追及や作業員への補償に影響を及ぼすでしょうね――とコメントを振られたが、それほど単純な問題でない気がする。

 救出された作業員の1人は、岩盤を支える地層まで掘削させていたとして、サン・エステバン社の利益優先の体質を批判している。

利益優先の過剰掘削で落盤か チリ鉱山、作業員証言
http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010102201000677.html

 落盤の3時間前に坑内で異常音を聞き、地上に出たいと言ったが鉱山会社に断られたと話す作業員も。

チリ落盤発生前「地上に出たい」 会社断る
http://www.asahi.com/international/update/1020/TKY201010200132.html

 安全基準を言うなら、こんな危なっかしい鉱山会社を放置してきたくせに、そんなことは忘れたかのごとく救出プロジェクトで英雄っぽく振舞っていた鉱業大臣や大統領の責任はどうなんだという気もするが、補償も刑事責任も会社をターゲットにするのがシンプルだし、事実、会社は責任を免れようがないだろう。問題は、鉱山で働く人々とその家族がそれを望むかどうかだ。

 この地域に住む人々の多くは鉱山で働く以外にない。少なくとも、鉱山ほど高い収入を得られる働き口は他にほとんどない。今回事故に遭った作業員の多くもそうだろう。

 一部の報道では、被害者家族が総額1200万ドルの損害賠償を求める予定でいるという。経営難だったサン・エステバン社の資産は1000万ドルを下回っているとされ、満額の支払義務を負えばそれだけで会社は自己破産するだろう。

 補償がそこまで多額にならなくても、今後は同様の事故を防ぐために万全の安全対策を講じることになれば、そちらにコストを配分するぶん、作業員の給料は下げられるだろう。あるいは、今後は「事故が起きても会社に対する補償の責任は放棄する」という契約書に事前にサインした作業員しか雇わなくなるかもしれない。

 もう二度と鉱山の仕事はしないという生還作業員は別にして、それ以外の生還者や、今回の事故とは無関係の鉱山労働者が、そのように鉱山会社が追い込まれて破綻したり、結果的に待遇が悪くなるような事態を望むだろうか。

「命には代えられない」が、鉱山で働くということはそもそもそういう理屈では成り立っていないはずだ。悪質な鉱山会社を排除することはコンセンサスになっても、それを超えて業界全体に規制が効き過ぎることは、リスクと引き換えに大金を稼ぐことを選んだ作業員とその家族の利益とマッチしない。

 奇跡の生還とか人間の強さとか、不必要なまでに美談に仕立てたり大げさなものを見出そうとするのは、地下奥深くにもぐる仕事のリアルな現実を見失っている。損害賠償請求や再発防止の動きがうやむやになっても、私は驚かない。

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2010.10.15

日航パイロット整理解雇の不思議な言い草

 経営再建中の日本航空が、リストラクチャリングの一環として一部の機長と副操縦士に強制的に退職を迫り始めたというニュースで、家族が困っているという記事を朝日新聞が先週載せていた。

乗務予定が突然白紙 育児・ローン…日航パイロット困惑
http://www.asahi.com/special/jal/TKY201010070571.html

 日航の整理解雇の人選基準に「(当該年度の)病気欠勤合計41日以上」「過去2年5カ月で合計81日以上の病気欠勤」というのがあり、今年に入って怪我で数カ月休んだ副操縦士や、風邪や腰痛で長く休んだ副操縦士が、乗務予定が真っ白のスケジュールをいきなり突きつけられたのだという。

 記事によると、パイロットは事故防止のため、体調が少しでもすぐれないと病気欠勤とする。風邪薬を飲んだだけでも、自己申告で休む。「こんなやり方では風邪を引いても誰も休まなくなり、安全に問題が出るだろう」と、退職勧奨の対象となった副操縦士が言っている。そういう考え方をすること自体が、この会社がいかに病んでいるかを物語っている。

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2010.10.14

オバマの仇を中国で討ったノーベル委員長

 ノーベル賞委員会が今年の平和賞に中国の民主活動家・劉暁波氏を選んだことは、政府間の関係悪化もいとわずに中国の人権抑圧を批判したノルウェーの義挙のように言われている。

 そういう面もあるかもしれないが、どちらかと言えば昨年の平和賞を「何もしていない」オバマに授与して非難の集中砲火を浴びた現ノーベル賞委員会が名誉挽回をもくろんでのチョイス、と見たほうがよさそうな気がする。

 ノーベル賞委員会のトールビョルン・ヤーグラン委員長(59)はノルウェーの大物政治家で、労働組合から政界に入って穏健社会主義の労働党の党首にまで上りつめた。90年代に首相、その後外相を務め、昨年2月にノーベル賞委員会の委員長に、昨年秋から欧州評議会の議長にそれぞれ就任した。

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2010.10.08

不明高齢者? アメリカでも

 オバマ政権が昨年、大型景気対策の一環として実施した年金受給者への一律250ドルの一時金支給が、死亡者にも支払われていたことがわかったというニュース。

 支給対象5200万人のうち、7万2000人が死亡者だったという。その人たちの年齢は報じられていないが、もともとの対象が年金受給者(退職者)だったので、大半は高齢者と思われる。「よく調べたら亡くなってました」ということだろう。

 日本の所在不明高齢者のような問題は、要は事務処理ミスなのでどこの国で起きてもおかしくないが、0.14%が死んでいたというのは「誤差」として許容範囲なのだろうか。

 今回のケースでは、他に1万7000人の受刑者にも一時金が支給されていたという。

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