« 不明高齢者? アメリカでも | トップページ | 日航パイロット整理解雇の不思議な言い草 »

2010.10.14

オバマの仇を中国で討ったノーベル委員長

 ノーベル賞委員会が今年の平和賞に中国の民主活動家・劉暁波氏を選んだことは、政府間の関係悪化もいとわずに中国の人権抑圧を批判したノルウェーの義挙のように言われている。

 そういう面もあるかもしれないが、どちらかと言えば昨年の平和賞を「何もしていない」オバマに授与して非難の集中砲火を浴びた現ノーベル賞委員会が名誉挽回をもくろんでのチョイス、と見たほうがよさそうな気がする。

 ノーベル賞委員会のトールビョルン・ヤーグラン委員長(59)はノルウェーの大物政治家で、労働組合から政界に入って穏健社会主義の労働党の党首にまで上りつめた。90年代に首相、その後外相を務め、昨年2月にノーベル賞委員会の委員長に、昨年秋から欧州評議会の議長にそれぞれ就任した。

 英語版Wikipediaによると、労組たたき上げの政治家として組合や党内での権力闘争やスキャンダルを勝ち抜いてきた、なかなか権力志向の強そうな人物だ。ノーベル賞委員長や欧州評議会議長はそうした輝かしいキャリアの結びを飾る名誉職だろうから、それでいきなりオバマを選んで世界中から非難され、委員長を辞めるべきだとまで言われたのはプライドも面子もずたずたにされる体験だったに違いない。

トールビョルン・ヤーグラン
http://www.nydailynews.com/news/2009/10/10/2009-10-10_winner_of_nobel_peace_prize_decided_by_five_norwegians.html

独占!爆笑ノーベル委員会の舞台裏(ニューズウィーク日本版)
http://newsweekjapan.jp/stories/world/2009/10/post-617.php

 そんなヤーグラン委員長が汚名を払拭すべく「今年こそは…」と考えたとしても不思議はない(昨年も委員長個人の強引な人選という批判があった)。劉暁波氏は中国へのメッセージとして選ばれたのではなく、ヤーグランにとって「絶対にハズレのない人物」だから選ばれたのではないだろうか。

 もちろん、劉暁波氏の活動は尊敬と評価をされてしかるべきだし、中国の肩をもつつもりもない。数週間前にどこかの新聞(忘れた)が詳しく報じていたが、民主活動家への弾圧もさることながら、治安当局が「怪しい」「問題あり」と主観で判断しただけで、司法手続き一切なしで市民が奴隷のような強制労働に従事させられる「労働矯正制度」は本当にひどい。

 ノルウェーとの閣僚会合を中止したり、今回のような時に中国がやたら子供じみたリアクションをするのは、国内の状況を後ろめたく思っている証拠だろう。

|

« 不明高齢者? アメリカでも | トップページ | 日航パイロット整理解雇の不思議な言い草 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1419861/37228424

この記事へのトラックバック一覧です: オバマの仇を中国で討ったノーベル委員長:

« 不明高齢者? アメリカでも | トップページ | 日航パイロット整理解雇の不思議な言い草 »